加害者が負う責任とは

交通事故被害者がとるべき手続きについてはインターネットなどでもくわしく解説されていますが、加害者が事故後にどのような責任を負うべきなのか、ということについてはあまり情報がありません。そのため、実際に事故を起こした後に慌ててしまい、適切な行動がとれないケースがままあります。これでは被害者に対して不誠実な印象を与えてしまいますし、加害者自身も必要な法的配慮を受けられずに終わってしまいます。このような不幸をふせぐためにも、事故を起こした後にすませるべき手続きの流れについて理解しておきましょう。

自動車がからむ接触事故の場合、ほとんどが示談で処理され、裁判にまでいたるケースはそれほど多くありません。コスト面や精神的負担などの理由によるものと思われますが、それでも、加害者としてはもしも裁判に発展した場合にそなえてシミュレーションをしておく必要があります。示談にするにしても裁判を待つにしても、まずは事故の状況を客観的なかたちで示すことが肝要です。事故後の賠償額をきめる材料となるのは、過失割合です。これは、「事故の瞬間において加害者と被害者のどちらにより多くの責任が生じるか」を示すもので、事故のシチュエーションごとに細かく定められています。交差点で歩行者が車にはねられる事故の場合、歩行者側の信号が青になっていたか、車が信号無視をしていたかなど細かい違いで過失割合が変化し、それによって賠償金の額も変わります。

交通事故の加害者が負うべき責任には、刑事責任、民事責任、行政責任の3つがあります。刑事責任とは刑法によって裁かれ、裁判で罰を受けることで、自動車で人をはねた場合は業務上過失傷害などの罪が適用されます。民事責任では罰を受けるわけではありませんが、民事裁判によって定められた賠償金を被害者に支払うことになります。交通事故を起こすと減点や免許停止などの処分が下されることになります。こうしたことをまとめて行政責任といいます、

交通事故の事後処理で肝要なのは、加害者と被害者が対立構図にならないことです。ケガが深刻な場合は往々にして感情的な対立に陥りがちですが、それでは互いに冷静な議論ができず、問題の本質を見失うことになりかねません。また、自分だけが一方的に立場を有利にしようとすることも厳禁です。あくまでも事実を着実に積み重ねていけば、トラブルのない円満な事後処理になるはずです。

被害者がとる手続き

交通事故の被害に遭った直後は誰でも気が動転して冷静ではいられなくなるものですが、事故後の賠償や示談交渉を円滑に進めるためにやっておかなければいけないことがいくつかあります。とくに自動車との接触事故の場合、ケガの程度が深刻な場合が多いので、なるべく早い段階でこちらの状況を相手側に伝える必要があります。自動車との接触事故の場合、相手の車のナンバーをひかえておくことが絶対条件です。くわえて相手の連絡先(住所、電話番号など)を聞きだしておくと、後々の示談交渉や裁判で役に立ちます。

事故によってこちらがケガを負った場合は必ずその日か翌日のうちに病院へ行き、正式な診断書をもらいましょう。診断書は事故の程度を客観的に伝える材料であり、裁判を有利に進める武器にもなります。裁判がもつれこんだ時にそなえて、事故の目撃者を見つけておくのも効果的です。事故の規模にもよりますが、事故発生から示談の成立まではおおよそ3ヵ月ほどかかるのが一般的です。交通事故被害の事後処理を円滑に行う一番のポイントは、事故後すぐに絶対に公的な第三者を介入させることです。

交通事故被害の対応は絶対に当事者だけで解決を図ってはいけません。警察や医療機関、弁護士など、事故の状況を客観的に証明してくれるところと早急に連携を図り、事実を積み重ねるかたちで交渉を進めていくのです。

この時に大切なのは、正確な情報だけを伝えることです。こちらの証言に少しでも正確性の欠ける部分があれば、交渉を対等に進めることは難しくなります。当たり前に思えますが、事故直後はパニック状態になっているため、どうしても記憶が曖昧になりがちです。そのため、事故に関わることはどんな細かいことでもメモに残しておくことが鉄則となります。